測量を学んだ人が言う正しい位置・面積と一般の人々が考える正しい位置・面積は、大きなズレを生じている場面が多々あります。原因は、地球が正確な楕円体でないこと、地面は時間とともにズレていくこと、目で見える水平と幾何学的な水平がちがうことなどがあげられます。このズレは、例えば、資産(登記情報)にも影響を及ぼしていて、幾何学的な正しい位置は、実質的には正しいとは言えないという困難さの場面を経験することが少なからずあります。

狭小エリアでは問題にならなかった測量でも、広大なエリアが対象になるGNSS測量はさまざまな問題や矛盾を回避するため、通常の測量とは違う特殊な測量知識・経験を求められていると言えるでしょう。

現状に満足せず、まだまだ勉強が必要な分野だと思っています。


※地殻変動補正(セミ・ダイナミック補正)

測量は、原則として位置の数値(座標値)を動かない点(不動点)として扱います。しかし、最近の測量技術によって地面は動くことがわかっています。動いている不動点を使って測量して、不動点(新点)を作成するプロセスは、高精度な測量において、天動説と地動説の違いくらいの矛盾が生じてしまっていると言えるでしょう。

一般的には、「測量は正しい位置(今の位置)を求めている」と思っている人が多いと思いますが、測量の考え方は違います。今の位置を測量し、ある基準の時の位置(測量元期の位置)に時間を巻き戻すようにして、意図的にずらしているのです。そのずらす補正のことを地殻変動補正(セミ・ダイナミック補正)と言います。

従来の狭小エリアの測量(TS測量)の場合、この矛盾は無視しても大きな影響はでませんでした。今後、車の自動運転があたり前になると、例えば高速道路全体の中の高精度な位置や大きな土地の中で種を踏みつけないくらい高精度な位置が必要となり、この矛盾と向き合わなくてはいけません。


※標高の測量(ジオイド補正)

GNSS測量の高精度な高さ(標高)においては、もっと深刻な問題を抱えています。GNSS測量は衛星の軌道の位置関係から高さ方向の計算がもともと弱く、地殻変動補正や測量元期の考え方がなく、また、ジオイド高の維持管理が簡単ではありません。

クライアントとの打ち合わせ時、採用する計算方法や補正方法など、GNSS測量のリスクが理解できるように、できるだけ丁寧な説明になるように心がけています。


※GEONET(GNSS連続観測システム)

日本には、1300カ所の国土地理院が管理する電子基準点が設置されています。この電子基準点のデータは国土地理院で管理され、電子基準点の位置を正確に計算しています。

測量では、電子基準点を不動点として扱い、緯度経度・標高の位置は決まっています。しかし実際は動いているので、その動いている今の位置も計算しています。(日々の座標値)

高精度なGNSS基準点測量を実施するときは、周辺の電子基準点を使った解析をする機会が多くなりました。日本の衛星測位が高精度なのは、電子基準点網が高密度に整備されているからと言っても過言ではありません。

GNSS測量の場合、通常の測量と違った必要な補正の知識や適切な測量技術が必要になるこがわかってもらえると思います。



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